八-パー-

「銀ちゃーん、纏足アルヨ〜!」



と、中国マフィアの娘のチャイナこと神楽と、後に続いて顎の割れたホストのメガネこと新八が俺と銀時の部屋に入ってきた。
今日は、俺は非番で、銀時も仕事が無く、家で二人ごろごろしていた。
そこに、銀時にやたら懐いている二人がどかどかと入りこんできた。 メガネはちゃんとお邪魔しますと声をかけたがチャイナは冒頭の台詞を吐きながら我が物顔で入ってきた。


「おー神楽。戻ってきたんだ。中国帰るって言ってただろ?」
「うん。昨日ココ着いたヨ。やっぱり銀ちゃんがいるところがいいアル」
「嬉しいこと言ってくれるね〜」
「あ、銀さん、ケーキ買ってきましたよ」
「お、やるなーお前!土方皿に出していちご牛乳持ってきてよ」
「なっ!」
「すみません、お休みの所お邪魔しちゃって・・・」
「いや、いい・・・茶ァ淹れてくる」


キッチンへ、新八から渡されたケーキの箱を持ち向かい、茶を淹れていると、リビングから楽しそうな話声が聞こえる。
すぐに用意して持ってくると、チャイナはすぐにケーキにかぶりついた。アレで驚くほどかなりの大食いだ。


「神楽、お前さっきてん・・・なんとかとか言ってたけど何?」
「おぉ!そうヨ!忘れてたアル!これこれ、銀ちゃんに中国のおみやげアルヨ〜」


手渡されたのは箱。
箱を開けてみると、中には保護するように綿と、シルクの布が敷かれている。その上にちょこんと靴が二つ。
本当にちょこんと。かわいい、小さなサイズの靴が一足入っていた。


「何これ・・・子供用?人形用・・・?ちっちゃ・・・・・・」
「刺繍とかすごいですね〜可愛い」
「それ、纏足アル」
「纏足?」
「あ、僕聞いたことあります。なんか足に包帯巻いて足を小さくするんですよね」
「何ソレ」
「中国の古い慣習で、女性は小さい頃に包帯で足をぐるぐる巻きにして、骨の発達を妨害して無理に変形させて小さく見せてたんですよ。 その風習の名前が纏足って言うんです。今はもうそんな纏足の女性なんて老人とかにしか見られませんけどね」
「へぇ〜。俺知らなかったわ。って、小さくってこんなにか?10センチくらいしかなくね?この靴」
「大人になっても足のサイズが10センチに満たない女性もいたそうですよ」
「どうしてこの靴を?」
「かわいいでしょ。飾っておけばいいアル。インテリアアルヨ〜」
「ふぅん・・・。で、なんでこんな小さい足にこだわったわけ?こんな小さくても不気味なだけだろ」
「足の小さい女の子はモテたアル」
「痛くなかったわけ?無理に骨変形させてるんでしょ?」
「さぁ・・・痛かったんじゃないですか?3日に1回は消毒しなきゃいけなかったそうですよ」
「めんどくせぇ・・・・・・そんなことしなきゃいいのになぁ。第一歩きにくくね?」



「女を閉じ込めておくためだ」



「は?」


聞いたことがある。纏足。
中国の古い文化とかに興味を持っていたときがあった。そのときに纏足についての、そんな文献を読んだことがあった。


「本当かどうかは知らないがな。纏足をさせてた理由として、小さい足がきれいに見える、ってこともあったそうだが、 女を逃がさないため、という理由もあるらしい」
「逃がさないため・・・・・・」
「歩きにくいからな。遠くまで逃げるなんてできなかったから、女を閉じ込めておくためのいい手段だったってわけだ」
「・・・・・・」
「また、歩きにくいから、自然と内腿に力が入って、筋肉がついて、女の局部の締まりがよくなるらしい。だから纏足をしている女は好かれた。 言い方悪いが名器っつーか、性具として気に入られてたらしいな」
「・・・・・・」
「そういう理由で纏足させられてたってのもあるらしいがな。真偽のほどは定かじゃねェ」


銀時は、靴を手に取り見つめている。


「お前、よく知ってるな」
「あぁ、本で読んだ」
「そんな理由とかがあったんですね〜。そこまでは僕も知らなかったな。でも靴見る分にはいいですよね。可愛いし」
「今はもう履く人なんていないケド、こうやって眺めるのに買う人がいるみたいヨ。なんかお人形さんの靴みたいで可愛いでしょ」
「そうだな〜・・・リビングにでも飾っとくか〜」< BR>

銀時が見せた表情の理由は、俺はわからない。