金もなく、着の身着のまま逃げてきた、というわけのわからないことを言う、銀髪の男を、俺の部屋に連れてきた。
逃げてきたなどと、怪しい以外の何物でもない。
何か犯罪に手を染めている者だろうか。それはおいおい聞くとして、とりあえず風呂に入れてやった。
着ている服は質のいいシルクのシャツ、そしてスラックス。首にはシルバーのチョーカー・・・というか首輪のようだ。
腕には同じくシルバーのブレスレットをつけている。履いていたものはただのサンダル。サンダルはつっかけてきたのだろう。逃げてきたと言っていた。
飼われていたと銀髪は言った。まったくもって理解不能だが、奴隷のように扱われていたとかそういうことか?
しかし、飼われていたにしては身につけている物は上等だ。
上着を脱ぎ、いつもの部屋着に着替えてリビングのソファーに座り一服。
すると洗面所からシャワーを浴び終えた銀髪が出てきた。髪の毛は乾かさなかったみたいだ。ぽたぽたと水が垂れている。服は俺が渡したもの。
背丈は変わらなかったのでぴったりだ。
読んでいた雑誌をテーブルに放り、こっちこいと銀髪に声をかける。
銀髪はそろそろとソファーの所までやってきて、隣に座るかと思いきや、俺の足の前に跪いた。
そして俺のジャージのズボンをずり下ろそうとした。驚いて咥えていた煙草を落としそうになる。
落とす前にと灰皿に押しつける。そして銀髪の手を押さえた。
「おい!何してんだ!」
「え、だって、ヤるんじゃないの・・・?」
「何言ってんだ!ヤ、ヤるって、お前男だろうが!」
「でも俺を飼ってた奴は、俺を使ってた」
「使うって・・・」
「俺、アイツのペットだったから」
「ペットって・・・。・・・・・・お前はそれがよかったのか?」
ペペペペットォォォ!?
なんだそりゃ!!ペットだと!?お前人間だろうが!
またまた俺の理解不能のことを吐くコイツの顔はマジだ。
飼う?ペット?ヤる?それってもしかして、いわゆる・・・・・・セイドレイとか言う?コイツ危ない奴なんじゃねぇか?
俺はとんでもねぇ奴を拾ってきたのかもしれねぇ・・・・・・。
でも自分で拾った手前、やっぱり無理、だなんて今更言えねェ。男が廃る。
「ペットって・・・。・・・・・・お前はそれがよかったのか?」
とりあえず、俺はそんなお前を飼っていたっていうような奴と一緒にされちゃたまらないからこんなことはやめてもらおう。
銀髪は俯き少し間を置いてから口を開いた。
「い・・・やだった。だから逃げてきた・・・」
「だったらしなくていいだろ。俺はそんなつもりでお前を拾ったんじゃねぇ」
「そうなの・・・?でも何もしないでここにいるなんて」
「・・・じゃあお前家事とかできるか?」
「家事?できる!ご飯も作れるし、洗濯も、掃除も」
「じゃあ家事やってくれ。お前がここにいる理由だ」
「はい!」
「敬語もいらねぇ」
「うん!!」
そんなこんなで、俺の所に転がり込んできた(正しくは俺が拾った)銀髪の居候と共に共同生活が始まった。
銀時は瞬く間に俺の生活の中に入り込んできて、歌舞伎町に溶け込んで、まさに俺の生活の一部になっていた。