十六

正確にはいた。そこに銀時は。
銀髪の天然パーマで俺と同じくらいの背の赤い目をした男はいた。


だがその瞳に映るのは俺じゃない。
その瞳には何も映っていないように見えた。







ここを出る前にいた、同じ檻のようなあの部屋に連れていかれて、今度は確実に監禁状態だった。
首に繋がれた革製の首輪から伸びる鎖はその部屋のベッドに繋がれていた。ある程度の長さがあってかろうじて部屋を動き回れる程度の。 部屋にはしっかりと鍵が付けられた。
といっても、ずっと横には高杉がいて、食事と排泄、俺が意識を飛ばしている間以外はずっと高杉に組み敷かれていたので離れようにも離れられなかった。
高杉は二度と俺を逃がさないかのように放さなかった。


もう逃げないのに。
もう逃げるつもりなんてないのに。
新八、神楽、ヅラ、歌舞伎町のみんな、・・・・・・・・・土方


高杉は俺を組み敷きながら俺に言い聞かせるように、何度も何度も俺のものだ、お前の居場所はここにしかねぇんだ、と囁く。
囁くなんていいもんじゃねぇ。
苦しい、辛いと訴えても、訴えれば訴えるほど勢いを増して突いて、呪文のように唱えるのだ。



「銀時ィ・・・お前は俺のもんだ。わかってるだろう?」
「もう逃げんじゃねェ。もう逃げられねェだろうがな」
「お前はココでしか生きていけねェんだよ」
「銀時」

「お前の居場所はココにしかねぇんだ」


狂ったように唱える。
組み敷かれる。

狂う狂う狂う狂う狂う狂う狂う狂う狂う狂う



でも何故だろう。
何日も抱かれ身体が疲労して、思考も上手く働いていないからだろうか、そうやって呪文のように唱えながら俺を組み敷く高杉の顔は、 どこか焦って寂しげな顔をしていた。
そんなように見えた。





最近、そんな疲労からだろうか。
高杉のそんな寂しげな顔でさえ、靄がかかったように、くすんでぼやけて、上手く見えない。