山崎からの報告は、最悪のものだった。
その報告を聞き、署で調べていたものを放り出し、ホテルへと向かう。
そこはもぬけの殻だった。
もしかしたらこの辺を、銀時の言う、高杉という奴がうろついているかもしれない、また捜し出して銀時を連れ去りにくるかもしれない。
昨日あんなことがあって、俺は心配でたまらなかったが、仕事がある。
それに、高杉、という名はどこかで聞いてことがある。
それも調べようと、署に向かった。銀時にはよく忠告しておいて。
山崎を遣いに出して銀時の様子を聞き、俺はパソコンと以前の事件のファイルに向かっていた。
以前あった事件、歌舞伎町に薬物が大量流出していた事件。
桃源郷事件。
あの黒幕は、『春雨』
しかしこの春雨というのは、いくつもの組織に枝分かれしていて、そのうちの一つが今回の事件の、クスリの出所だった。
そんな春雨のまた別の組織の団長は神威、といって、あのチャイナの実の兄らしい。
そして、また別の組織と連携を組んでいるらしいのが、鬼兵隊という団体。
その鬼兵隊のトップの人物が、銀時が言っていた高杉。高杉晋助だ。
この桃源郷事件は解決したが、出所を全て絶てたわけではなく、やはりこのように枝分かれした組織がいくつもあることがあり、
また再びクスリを流出させるかもしれない。
ここ最近、また違法所持で逮捕された人間がいる。それはすべて聞き出すと春雨の枝分かれした組織の者だった。
それによって、この春雨のことを詳しく調べて行く中であったのが、高杉という名だ。
昨日銀時に使用されていた媚薬、は春雨から流れてきたものだろう。
お腹が鳴り、時計を見ればもう既に2時。昼が過ぎているのに気がつかずパソコンや資料とにらめっこしていたことに気づきどっと疲れが出てくる。
コーヒーを淹れてもらおうと山崎を呼ぼうとするがいない。
あぁ、銀時の所に行っているんだった。
銀時は大丈夫だろうか。
銀時のことも心配だが、春雨のこと、高杉のことについてもまだ調べたいことがあるので、山崎に戻ってくるよう電話する。
「銀時は。そうか、良かった。じゃあまだ調べもんがあるから戻ってこい」
変わりはなかったようで。
ほっと安心し一息つく。
まぁでも完全に安心できるわけではないのでこのあと時間が経ったら様子を見にまた行かせるんだけど。
「土方さん心配し過ぎでさぁ。過保護すぎでぃ。束縛しすぎもよくありやせんぜ?逃げられまさぁ」
総悟がんまい棒をもっさもっさ食いながら俺のデスクにやって来て俺に言った。
食べながら喋るもんだから食べかすが俺のスーツに飛ぶ。
「山崎はアンタのパシリじゃありやせんぜぃ?それに、旦那なら強いからそんなに心配しなくても大丈夫でしょ」
「今んとこ連れ去られてもいないんだから高杉について詳しく調べても意味ないんじゃないですかぃ?犯罪に手を染めてる連中じゃねェんだし」
「のちのち犯罪者になる可能性もあるだろ」
「そんなこと言ったら春雨の奴ら全員そう言えるじゃないですか。俺達だって犯罪者になる可能性だってあるんですぜぃ?」
総悟の言葉にそれもそうだ、と調べ物の手を止める。
少し休憩しようと、腹も空いたし、煙草も吸いたくなったので署内の食堂に向かいつつ喫煙所に寄ることにした。
一服し、食堂で土方スペシャルを頼んでいる所にちょうど山崎が帰って来て、もう今日は萎えてしまった調査意欲に、
山崎の手はここでは必要なくなったため山崎をもう一度ホテルに行かす。
とんぼがえりっすかぁ!?と不満の声を洩らしながらまた署から出て行った。
その後山崎からかかってきた電話に、いい知らせはなかった。