昨日あんなことがあって、高杉達がまだこの辺りをうろついているだろうから、ということもあって、土方に今日はここを動くなと言われた。
どれだけ心配なのだろうか、土方の部下が数時間ごとに顔を出してきた。土方の過保護っぷりに呆れと一緒に嬉しさも込み上げた。
「銀時さん、誰か怪しい奴来てませんよね?」
「あぁ。ていうかジミー暇なんだね〜」
「ジミーじゃありません!山崎です!」
「はいはい、ジミー、俺いちご牛乳飲みたいんだけど〜」
「だからジミーじゃないって言ってるじゃないですか!いちご牛乳買ってきましたよ」
「あんがと」
「別に俺、暇じゃないんですよ?」
「じゃあ俺は大丈夫だから仕事しなよ。大変だねェあんな上司の下についちゃって〜」
「いや、これも仕事なんです」
「上司命令の?」
「まぁ、土方さん命令なんですけどね、・・・・・・土方さんから銀時さんが高杉って奴のことを知っているって聞きました」
「!」
「その高杉ってちょっと危険なやつでしてね」
「・・・」
「どうも春――」
PRRRRRRR
「あ、はい!あ、大丈夫でした!はい。いえ。はい。はい!じゃあ今から戻ります!」
「ジミー?」
「俺、署に戻りますね。また来ます。じゃあ怪しい奴が来たらすぐに連絡してください。部屋から出ないでくださいね〜」
「あ、ちょ、おい」
ガチャン
オートロックのドアが無機質な音を立てて閉まった。
ジミーがさっき言っていたこと・・・高杉が危険・・・・・・?
確かに性格はアブナイ奴だったけど。
でも、俺は高杉が何の仕事をしているのか、高杉の周りのことについて、いや、高杉自身についてもよく知らない。
ぐぅ
小腹が空き、ルームサービスを頼む。思い出したくもないことに頭を使ってしまってお腹が空いてしまった。当分補給をしなきゃな、と適当に甘味を頼む。
ピンポーン
部屋の呼び鈴が鳴り、覗き穴を覗くとホテルマンの帽子。ルームサービスです、と声をかけられ扉を開ける。
その瞬間腕を強い力で握られ、腕を掴んだ男が顔を上げると、そこには―――
「結局、あの男に尻尾振ったんだなァ?ミルクくれって」
「ふっ、ぅ」
「お前は俺のペットだろうが。拾ってやって居場所を与えて餌もくれてやった恩を忘れやがるなんてなァ?」
「ぅうっ!く、んん」
「勝手に主人から逃げて、他の奴に尻尾振ってんじゃねぇ」
「ぅあああ!!」
俺を見下ろす高杉の、口は三日月形につり上がっている。しかし俺を映すその瞳は、怒りでゆらゆら揺れていた。
俺は両腕を頭上で拘束され、両脚はM字になるように片足の膝をくくった縄が首の後ろを通ってもう片方の膝を縛っている。
晒された男の象徴は、達しないように根元を赤いリボンで縛られている。
そして同じく晒されている秘所には、俺を組み敷いている男の熱塊が埋め込まれている。
「俺がやってた餌じゃ足りずに他の野郎に尻尾振って媚売って・・・あの男のミルクは美味かったのかァ?」
「ひ、あぁ!は、あ」
「てめぇにはここしか居場所ねぇだろう」
「あぁ!あ、や、ふぅっ、あぁあ!!」
「何て言ったっけなァ?・・・あのケツアゴのメガネの・・・新八って言ったっけなァ?
あと中国マフィアのボスの娘の神楽だったなァ?アイツの兄貴とは顔見知りでなァ・・・」
「っ!」
「あとあの桂もいたなァ・・・・・・」
「・・・・・・っ」
「新宿署の刑事だってなァ・・・お前の今の飼い主。土方って言ったなァ?」
「!そ、それが何なんだよっ!」
俺の大事な奴らの名前を出されて、俺は固まる。
どうして知っている。そこまで調べたのか?
高杉は俺にぐっと顔を近づける。高杉の方が若干俺より背が小さいこともあって、角度を変え深くまで抉られる。
そして耳の方へと唇を寄せ、低い声で言われた。
「大人しく俺の所に戻ってこい。・・・・・・そうすればアイツらには手は出さねェ」
「!!」
「お前の所為でアイツらに迷惑がかかるんだぜ?だったらどうしたらいいかわかるよなァ?」
「あ、あ・・・」
高杉は耳元で俺の名前を呼んだ。
「銀時ィ・・・」
耳元で名前を囁かれ、土方の顔が浮かんだ。
いつも耳元に口を寄せ、銀時、と低い声で呼んでいた。名を、弱い耳元で呼ばれるとぞくぞくとする。そして、名を呼んだあとは土方は俺を強く抱き締めた。
そのことを思い出す。
土方・・・俺に居場所を与えてくれた人、再び光を与えてくれた人。
もう闇は嫌だ。
あんな籠の中で、外を眺めるだけしかできなくて、纏足を履かされ外に逃げれないようにされて、愛玩動物として生きて行くあんな生活。
もう嫌だ。
やっと手に入れた光、手放したくない。
汚したくない。
壊したくない。
だから―――
「ぅ・・・ん、しん、すけ」
「ククッ・・・はははッ」
俺は高杉に、手を伸ばす――