僕は今、恋をしている。
只今16歳、思春期真っ盛り。
ただし、お通ちゃんにではない。そりゃあ、お通ちゃんはかわいいし、
歌もうまいし、追っかけというか親衛隊隊長なんてやっているぐらいで、
お通ちゃんのことなら何でも知っているくらい大好きだけど、それはなんていうのかな、
路上で頑張っている時からずっと見守ってきて、ライブにも足を運び、
お通ちゃんの活躍と成長を見守ってきた、親のような気持ちだ。
お通ちゃんはアイドルであって、
銀さんや、例の一件の時の土方さん、もといトッシーに言われた通り手の届かない存在だ。
あの時は必死で反発した。
僕は、お通ちゃんへの好きを恋愛の好きだと勘違いしていた。
だからそうやって、お通ちゃんは二次元の世界の人物と同じだなんて言われて腹が立ったんだ。
でも今は違う。
今、あの人を好きになって、それを自覚した時、
お通ちゃんへの感情はただの一ファンだからだと気付いた。
お通ちゃんのスキャンダルの時、そりゃあショックは受けたけど、でも幸せになって欲しいと思った。
でもあの人に恋人ができたら、嫉妬で我を忘れてその人を殺しに行くかもしれない。
お通ちゃんはうんちはしない!なんて言ってたのは、
アイドルの理想を押しつけていてそういうところは受け入れられなかった証拠だ。
でもあの人のなら、吐しゃ物だって排泄物だってなんだって愛せるかもしれない。
いや、ちょっと愛すまではいかなくても処理ぐらいはやってあげられる。
最初はこの感情はただの家族の好きだと思っていた。
あの人だって、僕のことは好きだろうけど家族だとしか思っていないだろう。
だから、あの人が酔っぱらって帰ってきた時、白い頬が赤くなっているのに、
綺麗だななんて思ってしまったり、酔っぱらった時や、風邪を引いた時舌足らずな口調で僕の名前を呼ぶのに、
キュンとしてしまったり、僕が怒ると唇を突き出して拗ねたような顔をするのに可愛いなと思ってしまったり、
一緒に風呂に入った時に見た、ところどころ刀傷が残る身体が、思ったより白くて、しかもあそこの毛も、
髪の毛と一緒の色だったのにムラムラしてしまったり、あの人が僕を庇う時、
僕がもう少し強くなったらこの人全てを護るのにと思ったり、あの人が怪我を負ってくると、
この身体に傷をつけていいのは僕だけであればなんて思ったり。
こんな全ての感情を僕は否定しようとした。
でも家族に思う気持ちとしてはあまりにも違いすぎる。やっと僕は自覚した。
僕は坂田銀時に恋をしている。
今日は神楽ちゃんと姉上と九兵衛さんが、泊まりで出かけてしまい万事屋には銀さん一人だ。
でも銀さんは、僕が恒道館で一人でいるのは危ないだろうと、万事屋に泊まるように言われた。
男二人で食卓を囲み、銀さんが作ってくれた夕飯を食べる。
「今日は大食娘の神楽がいなくて、作る量も少なくて済んでよかったな。食費かかんねぇ」
「そうですね〜神楽ちゃんいたら消費量半端ないですからね〜今、神楽ちゃん達も夕飯中ですかね?」
「あぁ、だろうな」
他愛もない話をしながら箸を進める。
ちらりと銀さんを見る。
箸の持ち方きれいだな〜。銀さんっていろいろいい加減だけど食事の仕方はきれいだ。
魚の骨の取り方とか・・・。お茶碗を持つ手、きれいだな・・・。
刀だこがあったり、傷があったりするけど、どれも全て銀さんを構成するのに必要なもので、
白い大きい手で、刀だこのある長い指、きれいだ・・・。
「新八?何じろじろ見て・・・。
なんだぁ?食べたいのか?人の食ってるもんって食べたくなるしなぁ。でもやらん」
「え、あ、いや、別に欲しかったわけじゃないですよ?ただ箸の使い方きれいだな〜って」
「あぁ、昔叩きこまれたからな〜」
夕飯を食べ終わって僕が後片付けをして、そのあとお風呂を沸かす。
「銀さーん、お風呂沸きましたよ〜?」
「ん。じゃあ先入れば?あ、それとも一緒に入るか」
「なななななななんで!!??」
「光熱費節約になるじゃん。二人しかいねぇんだし男二人だし別に支障はねぇだろ?
むしろ金が浮いていいことだけだ」
支障ありますからぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!
支障ありまくりです!!あんな狭い風呂に二人だなんて!
裸で一緒に狭い風呂に入ったりなんかしたらっっ
「いいいいいいやいや、せ、狭いですから!あの狭い風呂に男二人はきついですから!!!」
「湯船に一緒につからなきゃいいだろ」
そしたら銀さんが身体を洗ってる時もろ見えするアレとかソレとか、
想像するだけでもくらくらしそうなのに、そんな一緒に入ったら逆上せて倒れるかも
「それでも狭いです!一人ずつ入りましょう!ぼ、僕、先、入ってきますね!!」
着替えを引っ掴んで浴室に駆け込んだ。
「変な新八」
銀さんのつぶやきが遠くで聞こえた。
このあとR18なので注意