聞かれた。
俺は、先日、総悟と賭けをした。
近藤さんと総悟と三人で久しぶりに飲みに行った。
近藤さんは早々に酔い潰れて寝てしまった。
横で総悟がにやにや何か企んでいる顔で俺の猪口に酒を注いできた。
「ねぇ、土方さん、賭けしやせんかぃ?」
それは、一週間で銀時を落とせるか。
突っ込みたいことはたくさんあった。
どうして男に、どうして俺が、どうして一週間で、どうして‥‥万事屋。
だが俺はそのときかなり酔っていた。
その賭けに乗ってしまうくらいに。
勝ったらどうするかは、一週間経ってからということになった。
しかし総悟に負けたら何されるかわからないので
(副長の座寄こせとか言われそうだ)俺は不本意だが銀時に告白し続けた。
しかし4日も5日も銀時の顔を見続け、
飲み屋に行って一緒に飲み、銀時の意外な一面を見てるうちに情が湧いてきた。
まさかアイツが一週間の終わりの日、OKするとは思わず、
驚いたがとりあえず付き合うことにした。
しばらく付き合っているうちに、このまま付き合っていていいと思うようにもなった。
でも騙しているのだ、俺は、銀時を。
キスした時、嬉しそうな顔をした銀時に、俺は罪悪感に苛まれた。
今日は総悟が珍しくパトロールしやしょうなんて言ったのでパトカーに乗って市中を回っていると、
車内で煙草吸うんじゃねぇと総悟が言いやがるから路地の傍らに車を止め一服していた。
そこで総悟が、賭けの負けを認めた。
「あぁ、そういうこと」
銀時の無表情を見た時、俺の頭は真っ白になった。
踵を返した銀時に、はっと弾かれるように銀時を追いかけた。
しかし銀時は追いつき腕を掴んだ俺を払い万事屋に帰って行った。
最初は賭けで始まった関係だが、俺は銀時のことが好きになった。
このまま終わりにはしたくない。騙してた、そんなままでは終わりにしたくない。
俺は夜、万事屋を訪ねた。
◇◆◇◆◇
土方が弁解に万事屋に来た。
「言い訳に聞こえるかもしれねえが、俺は本当にお前が好きになった」
信じられるかよ。仲いいですねお前と沖田くん。
賭けしてさ、本当はお前と沖田くん、デキてんじゃねぇの?
「誰がアイツと・・・。俺はお前が好きだ。最初告白した時は確かに賭けでしかなかったが、
途中から賭けのことなんて忘れてた」
「‥‥‥」
土方は俺を見据え、あの日告白してきたときと同じように眉間に皺を寄せて、
瞳孔開いた目で睨むように俺を見ながら好きだと言った。
「悪かった。騙すような形で始まったが、今は違う。許してくれないか?それでまた‥‥‥」
「いいよ。わかった。許す」
「銀時・・・好きだ」
土方は俺を抱き締め口づけてきた。
「どうでしたかぃ?仲直りしやしたか?」
「あぁ」
「だから言ったでしょ、土方さんは落ちるって。ということで俺の勝ちですねぃ。
2勝0敗。旦那、約束覚えてますよねぃ?」
「あーうん、わかってるよ。ていうか、マジでアイツがそんな賭けに乗るとは思わなかった」
「酔ってるときに持ちかけたら一発でしたぜ?」
「卑怯だなテメー」
「まぁ、本当に土方さんまで落ちるとは思わなかったですけど」
「何だよ、お前も信じてなかったのかよ」
「まぁまぁ、じゃあ旦那、約束、果たしてもらいましょう」
「はぁ〜」
「覚えてますよねぃ?土方さんが旦那を一週間で落とす賭けに乗るか、
の賭けと、土方さんも旦那に落ちるかどうか、の賭け、俺が勝ったら旦那を好きにしていいって」
「はいはい覚えてますよ〜。男に二言はないからな。でもお前もモノ好きだねぇ〜。
こんなオッサン相手にしたいなんてよ〜」
「俺、何でもいける派なんでねぃ」
「まぁいいや、君のこと、嫌いじゃないし。結構楽しかったよ。賭け‥‥‥」
騙していたのはどっちなのか
騙されてたのはどっちなのか
TRICK「巧妙な策略で騙す」