どうして万事屋のソファーに我が物顔で座っている男がいるのでしょうか。
約一
名立ち入り禁止
今日は掃除をするからと万事屋を追い出され(いつものこと)とぼとぼと散歩していたらお妙にぼこられ往来に転がっている近藤を見つけ、
往来で真選組の局長が女に殴られ転がっているなど外聞が悪くなるだろうが別に真選組がどうなろうと知ったこっちゃないので放っておこうと思ったが、
いかんせん根が倒れている人を放っておけない人情派というかそんな性格なので仕方なく仕方なぁ〜く起こしてやって軽く手当てしてやったら(
血を拭いてやった)近藤が奢ってやるというので近くのファミレスに入ってフェアをしているデザートを一通り頼んだ。
やっぱり人助けはいいもんだ、と幸せな気持ちで食べた。目の前にゴリラがいるのが減点だが。
近藤と別れてパチンコ店に入ったら、長谷川さんを見つけ、隣の台に座って打っていたら珍しく勝った。
今日はツイてるなぁ〜とにこにこ幸せな気分で万事屋に帰った。
ただいまぁ〜と戸を開けると見慣れない靴。誰か客でも来てるのか?
事務所兼居間に入るとほんのり煙草の匂い。
その男のトレードマークと言える煙草は、今口に咥えていないし灰皿にも吸殻がない。服に染みついた匂いだろう。ヘビースモーカーだもんな。
でも屁ービースモーカーだってのに一本も吸ってないってことは、今近くに子供がいるからだろう。あぁ、こいつ結構いい奴じゃん。
・・・・・・・・・。
「じゃなくてね!?何でてめぇがいるんだよ!?」
「銀さんお帰りなさい」
「銀ちゃんお帰りヨ〜」
「あぁうんただいま、じゃなくて!どうしてコイツがいるんだよっ」
「いたから連れてきたアル」
「犬猫じゃねぇんだからほいほい連れてきちゃいけません!」
「ある意味狗アルヨ。テロリスト達が言ってるアル」
「そうだねぇ〜。でも犬猫でもほいほい連れてきちゃ駄目です!じゃなくて!コイツは人間!しかもなんでよりによってコイツ!?」
「散歩してたら会ったヨ。それで酢昆布くれたアル」
「よかったねぇ。でも男はみんな狼だからな、物を貰うな。何されるかわかんねぇぞ」
「誰がそんなガキにするかァ!」
「銀ちゃんも男アル。私のことそういう目で見てたアルカっ」
「お前なんて範疇外だからね。俺は年上好きだからね」
「銀ちゃんそんなこと言ってたらいつまでたっても彼女できないアル。だんだんババァしかいなくなるヨ」
「うるせぇ。俺だって天パじゃなきゃなぁ、モテモテなんだぞ多分」
「なんでも天パの所為にしてかわいそうな男アルナ」
「お前らには天パの苦しみがわからねぇから言えるんだ!」
「俺は別に天パいいと思うがな。ふわふわしてて気持ちよさそうだ」
「あ、そう?じゃなくて!そうだよ、何でお前がいるんだよ!何我が物顔で座ってんだよ、何我が物顔で会話に参加してんだよ!」
神楽にうまく乗せられてどんどん違う方向に話が逸れて行ったが修正。
なぜここにいる。
さっきまでいいことだらけだったのにどうして。
どうして万事屋に真選組の鬼の副長がいるんですか!
あれ、俺達とお前ってそんな仲良くなかったよねぇ?
どうして茶を出した新八と、貰った酢昆布をかじっている神楽と、いつもの鬼副長の顔が嘘みたいな顔して談笑してるんですか。
「ちょちょちょ、ひ、土方くん?いつの間にうちの子達とそんな仲良くなってんの」
「こういうのは外から攻めて行った方がいいだろ」
「外から?攻める?」
土方はわけのわからないことを言い出す。
俺は頭上にいくつかはてなマークを浮かべる。
「銀ちゃん、トッシーは銀ちゃんがぅがもごっ」
「かかか神楽ちゃんっ」
「???」
神楽が何か言おうとしたが新八に口を塞がれ先が聞けない。
「そ、そうだ、今日の夕飯の材料買ってこようか神楽ちゃん!」
「おう、そうアルナ!ここは若い者同士で話したいこともあるだろうからナ」
「神楽ちゃんっ。あ、そうだ、今日は銀さんが夕飯当番ですからね。土方さんも食べて行くそうなので」
「はぁ?何ソレ」
「今日は銀ちゃんが当番だって言ったら食べてくって言うので・・・食費も貰っちゃいましたし!買ってきますね」
「あ、おい」
新八は手に、土方から貰ったという諭吉一枚をひらひらさせて神楽と一緒に万事屋を出て行ってしまった。
なんなんだ?
土方が懐から煙草の箱を取り出した。
今日は隊服じゃなくて黒い着流しだ。非番なのか。
「おい、吸っていいか?」
「あ、あぁどうぞ」
やっぱり我慢してたんだろう。煙草に火をつけ深く吸ってゆっくり吐き出した。至福、という顔をしている。そんなに辛くなるほど長くいたのだろうか。
「お前いつからいたわけ?」
「さぁ、一時間くらい前か?」
「そんなに?・・・お前、子供たちの前だから吸うの我慢してたんだろ?ヘビースモーカーなのにな。鬼も子供には優しいんだな」
「お、お前よく見てるな・・・」
「ん?」
土方がなんか顔が赤くなった。なんでだ?
それから特に話もなく(というか別に仲いい訳でもないから話すことなんてない)まぁ他愛もない会話をしていたら新八と神楽が買い物から帰ってきた。
「ただいま〜・・・あれ?なんか早く帰ってきすぎちゃいましたか?」
「だから言ったアルヨ。二時間ぐらいは帰らない方がいいヨって」
それから新八と神楽が買ってきた材料で4人分、いや神楽は大人3人分くらいは食べるので4人+α分作った。
いっただっきまーすと新八と神楽とともに元気よく手を合わせると土方も一緒に手を合わせいただきますと言って食べ始めた。
「お前、マヨネーズかけねぇの?」
「あ?」
「いつもべっちゃべっちゃかけて犬の餌にしてんじゃん」
「・・・よく見てるなお前・・・・・・いや、いい。かけなくても美味い」
「そ、そう?」
なんか照れるな。
なんか知らないけど新八と神楽がこそこそ喋ってた。
新八と神楽で何か盛りあがっているので、取り残された俺と土方は黙々と食べる。何喋ればいいかよくわからない。
憎まれ口なら叩けるけど今日は土方がつっかかってこないのでなんかしづらい雰囲気だ。テレビをつけても面白い番組はやっていなかったので酒でも飲むかと誘った。
「あ、じゃあ飲む」
「じゃあちょっくら下から拝借してくるわ」
ここには二人で飲むには足りない量しか酒がなかったので下のスナックで貰ってこようと立ち上がり外に出た。
お登勢に小言を言われながら貰ってきて万事屋に戻ると(貰うというか、土方がくれた食費の一部で買った)新八と神楽は既にいなかった。
「あれ?二人は?」
「メシかきこんで出て行った。チャイナは今夜メガネん家に泊まるそうだ」
「あぁ、そう」
今日は二人の行動がよくわからない。というか一番よくわからない、意味不明なのは土方だ。
「なぁ、お前が夕飯当番の日は食べに来ていいか」
「は?」
「食費は出してやる」
「え、そう?でも屯所で食やぁいいじゃん」
「お前のメシのが美味い。俺に味噌汁作ってくれ」
「へ?味噌汁?あぁ、うん。いいよ?食費出してくれんなら」
俺はこの言葉の表面をそのまま受け取った。
裏面に気づかず、土方がにやりとしていたことにも気づかず。
酒が入ると会話が進んで、意外と話が合う奴だと気分が良くなってどんどん酒が進み、いつの間にか俺は眠っていたらしい。
起きたら和室の布団で裸で寝てました。隣では同じく裸の土方くんが寝ていて、俺は腕枕をされてました。
え?
とりあえず
出ていけ!!