「ぎゃあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!?」
空では彦星と織姫が一年に一度の逢瀬を果たす時、地球の、江戸の、かぶき町の一角では、
宇宙(そら)から送られてきた望んでいない酒の所為で、未知との逢瀬を果たしてしまった者がいた。
「銀ちゃんすごいアル!ぷりてぃーアル!」
「わぁ!銀さんって元々こんなに可愛かったんですねぇ!」
宇宙からの贈り物――それは銀時の友人・・・の快援隊の社長、坂本辰馬からの贈り物――は、天人製の酒で、
坂本が送ってくるものを、注意書きも読まずに飲んでしまった銀時も銀時だが、なんとその酒は、飲むと子供になるというものだった。
「やめろっ神楽っ」
「ほっぺぷにぷにアル〜」
「ったく最悪だ!!あの野郎今度会ったら叩っ斬ってやる!」
「何も注意書きも、坂本さんからの手紙も読まず、確認せずに飲むからですよ。ほら、ちゃんと手紙に書いてあるじゃないですか」
金時君へ
お元気ですか?宇宙では〜中略〜ではお元気で。
P.S.
送ったお酒は、飲むと子供になるそうです。気をつけてね。
「だから重要なことはP.S.にすんなっての!!しかも金時じゃねえし!!!」
ビリビリッと手紙を破く。銀時は大声でキレるが、その声は子供特有の高さを持っていて、怒っているのだが、まさに可愛らしい、という表現しか浮かばない。
「ところで、その姿だと何歳くらいなんですか?」
「・・・そうだな・・・12、3ってとこか?」
「なんでこれからあんな大人になっちゃったアルカ?」
「本当ですね。こんなに可愛かったのにあんな大人になるなんて・・・」
「お前ら、大人の俺全否定か」
銀時が言うに、12,3歳の銀時は、頬は柔らかでふっくらとしていて、ぽてっとした唇があり、目はいつもの眠たそうな目は変わらないが大きく、
身体はどこもかしこも細い。
大袈裟かもしれないが、こんな髪の色をしているわけだし、みんなから好奇の目で見られ、そして悪い大人に連れ去られるかもしれない、そんなくらい可愛いのだ。
「銀さん、服どうします?銀さんの服じゃぶかぶかでしょう?僕の服もぶかぶかだろうし・・・。神楽ちゃんの着たらどうですか?着替えてきてくださいよ」
「んー、そうだな」
朝起きたらこの姿になっていたため、銀時が今着ている服は、寝巻の甚平。しかし177cmでぴったりだった服なのだから、
当然ズボンは落ち、上も、普段なら七分丈くらいなのだが長袖どころかかろうじて指先が見えてるくらいだ。
神楽の服を借り、着てみればようやく落ち着く。
「戻るのは約一日後・・・ですか。ということは明日の朝くらいまで戻らないんですね」
「そうだな」
「よかったですね。今日は依頼がなくて。まあいつものことですけど。で、どうしますか?僕はこれから用事がありますし、
神楽ちゃんも出かけるって言ってますし・・・。一人でも大丈夫ですか?」
「大丈夫だよ。ガキ扱いすんな」
「姿は子供アルヨ」
「だからって別に中身は変わってねェんだしよ」
「でもいつもと勝手が違うじゃないですか。ですから今日は外に出ない方がいいですよ」
「そうだな。この姿で知り合いに会ったら面倒だし」
「そうしてください」
新八と神楽は、いそいそと外へ出かける準備を始めている。
「で?お前らは今日どこ行くんだ?」
「お通ちゃんの七夕ライブです」
「近所の子供達と七夕パーティーがあるネ。そしたらその後アネゴの家にお泊まりアル」
「七夕・・・そうか、今日七夕だっけか。・・・ん?七夕?7月7日?・・・・・・明日8日ってことは・・・あ」
「銀さん?」
「銀ちゃんどうしたアルカ?」
「いや、何でもねぇ・・・。気をつけていって来いよ」
「?銀さんも、くれぐれも気をつけてくださいね」
「銀ちゃん、知らないオジサンについてっちゃ駄目ヨ〜」
「ガキ扱いすんなっての!」
はぁーー、と深いため息を一つつき、カレンダーを確認する。
今日は七夕。明日は8日。ということは今夜は多分、いや必ず・・・
「だーんなー」
玄関で聞き慣れた、まだ少年らしさを残した高さの声で、普段呼ばれる愛称が聞こえる。
銀時は、何度も逡巡した。こんな子供の姿になったところを見られたくない。
やはり追い返すか、しかし明日は・・・、と色々考えていると、痺れを切らしたのか玄関の戸は無情にも開かれてしまう。
「旦那〜、いねぇんですかぃ?あ、いるじゃねぇですか・・・ぃ」
「や、やぁ・・・沖田くん」
幼さを残す顔をした、明日で一つ年を重ねる青年は、銀時の姿を見てしばし固まる。
「俺ってガキもいけるみてぇでさぁ」
「は?」
「で?どうしたんです?旦那」
「あー・・・」
かくかくしかじかで、と沖田に話す。
銀時は、沖田がバカにしてくるだろうと踏んだのだが、反応は違い。
「いつもと違って愉しめそうですねぃ?」
あの、いつものサディスティック星の王子の顔をした沖田に、銀時は背中に冷や汗が伝うのを感じた。
これならばバカにされた方がマシだ、と銀時は逃げる準備を始めるが、銀時の子供になった細い腕は沖田に取られてしまうのだった。
時計の針が12時を指した頃、沖田は所謂プレゼントをもう頂いているというのに、厚かましくも銀時にお祝いの言葉でも言ってもらおうかと思ったが、
普段とは違う身体での行為に、銀時は気を失っていた。
次の日、すっかり元に戻った銀時に、沖田は怒られるのだが、気にした様子もなく、沖田は「今度は大人の姿で」といい、銀時は再び疲れる羽目となる。