会わなくなって約一ヶ月。
もう限界だ。
君の気持ちがわからない
およそ一ヶ月前・・・
数日前から恋人である坂田銀時に非番であることを伝えていた。
新しくできた甘味処に行こうと約束をして。
そのあと飲みに行って奢る約束もした。
一日中銀時に付き合うつもりでいたのに
突然仕事が入った。
仕方なく俺は銀時に詫びの電話をした。
所謂ドタキャンだ。
なのにアイツは
「あっそ」
その一言だけで電話を切った。
最初は怒ってるのかと思い有名店のケーキを送り(顔を出せるほど暇がなかった)夜に電話をした。
「悪かった。また今度甘味奢ってやるから」
そう謝ると銀時は
「別に怒ってねぇよ。つぅか気にしてねぇし」
興味のないようなどうでもいいような声で言ってきた。
ドタキャンされたんだぞ?
もっと怒ったってよくないか?
今までにも何回かドタキャンはしたし、こんな仕事だからこういうことは多いから
毎回毎回怒られるのも困るが。
次の非番が取れ銀時に連絡するとデラックスパフェを奢れと言われた。
奢る約束をした。
なのにまた
仕事が入った。
もしかして俺の非番の日を狙うように攘夷浪士共が画策してんじゃねぇか?とマジで思った。
とりあえず銀時に電話だ。
こうやって連続でドタキャンすることなどなかったし、さすがに怒るだろうと思った。
が。
「ふぅん。んじゃがんばって〜」
・・・
は?
それだけ?
それだけで電話は切れた。
アイツの気持ちがわからない。
連続でドタキャンだぞ!?
普通怒るだろ。
或いは寂しそうにするだろ。
なんなんだよその興味のなさそうな返事は。
ものわかりがいいと言えばいいのか?
「押してダメなら引いてみろって言いますよね〜だからわざと距離置いてみたらどうですか?」
山崎がそう提言してきた。
山崎は恋人がいることを知っている。
相手が銀時だということは気づいてないが。
「連絡取らないでいれば絶対痺れを切らして電話してきますよ」
山崎の提案に乗ることにした。
その作戦を実行してから――二日三日おきにしていた電話やメールをしないで――
ついに一ヶ月が経ってしまった。
会わなくなってから一ヶ月と半月だ。
銀時からの連絡は……
来ない……。
「あの……それはやっぱり…副長のこと…好きじゃなかった…ってことじゃないですか……?」
一番自覚したくなかったこと。
アイツは俺のことが好きで俺も好きでいると
思ってた。
「…そろそろ潮時かもな」
もしかしたら浮気をしているのかもしれない。
俺に会わないことをいいことに他の男か女と……いやアイツは女にはモテないからな……男と……
嫌な予想ばかり立てて歩いていたらいつの間にか万事屋に着いていた。
「銀さん!!おとなしくしてて下さいよ!!」
突然大声が聞こえ万事屋のドアが開き、中から眼鏡とチャイナとでかい犬が出てきた。
「あ、ニコチンコ!!何してるアルか〜?」
「あ、土方さん、こんにちは」
「よ、よう。…万事屋の野郎、どうかしたのか?」
なんか眼鏡が出てくるときに銀時へ向けてかけていた言葉が気になる。
「あー、なんか銀さん風邪引いたみたいで…」
「風邪……?………馬鹿は風邪引かないって言うのにか」
「はは。なんか銀さん最近食欲がなかったみたいであんまり食べなくて、
そのせいで体調管理できずに体壊しちゃったんですよ」
「結局馬鹿ってことネ。風邪は馬鹿が引くものアルヨ」
「…で、お前らはその馬鹿のための買い出しか?」
「そうなんです」
そう苦笑して、それじゃあ、と眼鏡達はそう言って行ってしまった。
俺は万事屋のドアを開き和室へと向かった。
なんでアイツが食欲なくして体調を崩す?
ふと疑問に思い、まさか、と淡い期待を持ってしまう。
(もしかして銀時は俺に会えなくて……?)
スッと和室の襖を開ける。
そこには恋人の苦しそうな姿があった。
「新八ぃ?あれ…早くね……?」
布団にくるまってぜぇはぁ息をしている銀時の横に俺は座る。
「……あれ…なんだ…真選組の副長さんじゃん」
銀時は俺を確認するとまた布団にもぐってしまった。
「副長さんがこんなところにいていいんですかぁ?」
名前で呼ばずにわざと副長というのを強調しているのがますます期待が沸く。
「お前最近あまりメシ食わなかったらしいじゃねぇか。そんなんじゃ風邪も引くわな」
「…どこかの誰かさんが甘味奢ってくれなくてね」
あぁ、やっぱり確信に近づいてきた。
「誰か奢ってくれる奴いなかったのか?」
「いねぇよんなもん。お前のほうがいたんじゃないですかぁ?甘味でも食事でも奢ってやれる奴がぁ」
あぁ、どうやら作戦は成功したらしい。
ふと見渡すとカレンダーがあった。
×印がいっぱいの。
昨日まで×がつけてある。
ところどころ○印の上から×がしてある。
その日は俺の非番の日だった。
「銀時……」
「お前さぁ何なの?ドタキャンばっかしてきたと思えば突然連絡よこさなくなるし
俺と別れてェならさっさと言えば?」
「悪かった」
俺は銀時を抱き寄せた。
そうだ、銀時が本音を言うわけがねぇ。
俺の真選組を思う気持ちは知っているのだから、聞き分けのいい奴になる。
それにこいつの性格から寂しいだの会いたいだの言うわけがねぇ。
「悪かった。ドタキャンされてもなんの反応を返さないお前の気持ちに不安になって……それで……」
どうして連絡を取らなかったかの経緯について俺は銀時にした。
「ってめ…っ!俺を試してたのか!?うっわ、最悪最低〜」
銀時は怒って、そして
「……嫌われたのかと思った」
「ごめん。試してごめん。……俺のほうこそお前に好かれてないのかと思ったんだぞ」
「……仕事中だったら悪いと思って…」
「仕事中じゃない時だってあるだろ。だから連絡してくれて構わない。というかしてくれ」
「……甘味奢れってしつこく電話すっぞ?」
「構わねぇ」
俺の作戦は成功したが失敗した。
俺のくだらない不安の所為でこいつに風邪をひかせた。
まぁ、こいつがもう少し素直だったらよかったのだが。
でもこいつの本音が聞けた。
俺は結構愛されてるらしい。
