ビリッ



日めくりカレンダーをめくると、大きく10と書かれている。
蒸し暑いこの頃。
今年は例年に比べて、雨の量が多い。
それでも、蝉は鳴く。







八月吉日










夕方、神楽の浴衣の着付けをする銀時。
8月10日はどこかの神社の定例祭があり、花火大会もあるので、神楽は行きたいとねだった。
お妙と新八と神楽で行くそうだ。
銀時は神楽の浴衣の帯を締めている。


「く、苦しいアル銀ちゃんっ、昼に食べた物が内臓と共にあらゆる穴から出てきそうアルヨ!」
「あー?こんくらい我慢しろ」


銀時は背中を足で押さえ、帯を後ろに引っ張る。
帯はちょうちょ結びにし、髪の毛を結い、かんざしをつけてやり終了。


「銀さん器用ですね。着付けやってあげられるなんて」
「浴衣なんか簡単だろ」
「わぁ、銀ちゃんありがとう!似合ってるアルか!?」
「あぁ、可愛い」


キャッキャッとはしゃいでる神楽は巾着を持ち、下駄を履いて、もうすでに玄関に立っている。


「新八ぃ〜早くするアルヨ〜!」
「ちょっと待って〜!銀さんは本当に行かないんですか?」
「ああ。お妙と3人で楽しんで来い」


神楽と新八は祭へと消えていった。
銀時は数分後、外へと出て行った。





夜、日が長いとはいえ、立秋が過ぎた今、夏至の頃より日が落ちるのが早い。
日が落ち、ほんの少しだけ明るさを残す時間に、銀時は一つの宿に来ていた。
祭の場所から数十メートル離れた場所にその宿は建っている。
建物の中の部屋は大きな窓がある。
銀時は部屋に入りすぐに窓を開け放した。
星がちらちら輝いている。
闇に包まれる。



そこに一つの気配。
部屋の扉が静かに開かれると、現れた男。
黒髪、隻眼、派手な着物を着流す、



――――高杉




「おっせーよ高杉」
「お前から遅いなんて言葉が出るとはなァ…珍しいこともあるもんだ」


クククッと笑う高杉に銀時は徳利を差し出す。
高杉は猪口を取り、注がれた酒を呷る。
すると、大きな音とともに夜空に咲く大輪の花。
色とりどりの花は、神楽たちが遊びに行った祭の余興。


「ここ、すげぇ穴場じゃね?酒を飲みながら見れんだぜ?」


銀時は輝く花を見つめながら


「お前昔から派手好きで祭好きだったからさ」


高杉は同じように見ながら酒を呷る。


「でも今はお前、堂々と外歩けねぇし、」


銀時は自分の猪口に酒をつぐ。


「花火だけでも祭気分ぐれぇは味わえるからよ」


銀時は高杉に顔を向け、気付いた高杉と見つめ合う。




「おめでとう」









ヅラから、『日本の夜明け』だのなんだの訳の分からない本と、改心がどうとかいう本が贈られ、

坂本のバカもじゃからは訳の分からない、怪しい酒やら菓子やらと手紙を送られ(コイツの場合半年前に送られてきたが)

万斎やまた子らからはケーキを始め、豪華なご馳走を出された。
(オムライスにケチャップで名前を書かれ旗が立っていたのを見たときは二人に斬りかかったが)



まさかコイツが。


「お前の好きなもんってこれぐらいしか思いつかなくてよぉ。でも最高のプレゼントだろ」


コイツが粋なことをするとは。



「そうだなァ…悪かねぇな。てめぇにしてはな」
「こういうときはお世辞でも最高って言うもんだろ!!」







二人で酒を飲みながら笑い、夜の花を見た夏の日。


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10.02.02UP

多謝多謝
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