きれいなあのこ

「パー子ォ、ご苦労様。はい、給料とおみやげ」
「あぁ、どーも」


西郷のママに渡された一週間分のバイト代。結構厚め。それと共に渡された紙袋。中身は・・・


「おいっ、なんでこんなもんっ」
「おみやげよ。アンタのお陰で今週は売上UPしたからね。感謝の気持ちよ、受け取りな」
「いらねぇよ!誰がいつこんなもん着るってんだ!!」


渡された紙袋に入っていたのは、今週のバイトの中で着た衣装。しかし、着物ならまだしも、入っていたのは制服。 そう、制服。セーラー服だとかブレザーだとか、メイド服だとか、いろいろだ。
今週は制服デーとかいって、オッサン共が制服を着てモノ好きなオッサン共に接客した。
俺も無理矢理着せられ、しかも他のオカマよりも若いからってミニスカートなんて穿かされて。気持ち悪いったらねぇ。
そんな衣装を、あの中ではこんなミニスカート穿く子達はいないからって俺に押しつけてきたのだ。絶対そうだ。


「パー子、恋人いるんでしょう?男の。この前見たわよ〜?生意気ね」
「ちちちち違うから!妖怪になって目も悪くなったんじゃねェのぐぼぉぉ!!」


禁句を口走っていしまった所為で、俺は西郷に殴られ地面に伏す。


「そんなイケメン彼氏の前で着てあげたら?ちゃんと需要あるんだからいいおみやげでしょう?ちゃんと受け取んな」


俺は結局、罰ゲームとしか思えない衣装の入った紙袋を持たされ、給料を懐にしまいよろよろと家路を辿った。














「で。だからってなんでそうなるんだ」


今、銀時と俺の前には何着かの制服。
それらを挟んで俺らは向かい合って正座をしている。
それは万事屋の和室の煎餅布団の上。
今日は5月4日23時22分。
あと38分で5日。
俺の誕生日。


「非常にムカつくけどお前、まぁ顔はいいじゃん?性格っつーか嗜好に難ありだけどよ。 だからさぁ、お前が女装してもまぁそれなりに見れると思うわけ。そう思ったらなんか見てみたくなったんだよね。と、いうわけで、着ろ」
「そんな理由じゃ納得できるわけねぇだろ!そもそもなんで俺が女装しなきゃなんねぇんだ!お前がすりゃいいだろ! またあの店で働いてたっていうことは今回は不問にしてやらぁ。ただ、そこで一度じゃなくて一週間も着てたんだろ?なら慣れたもんじゃねぇか。お前が着ろ」
「やだよ。一週間も着たんだぜ?一度も着たことのねぇ奴が着た方が平等だろ?こういうのも経験だぜ?着ろ」
「そういう女装とか、女役のお前がやるのが普通だろ。お前が着ろ」
「あーそういうのって偏見。それに女役とか言うな。俺がしぶしぶ抱かれてやってんだよ。別に女装したからって女役になれっていってるわけじゃねぇんだからさぁ。 まぁでもお前の女装見たら気持ち変わるかもしんねぇけど。とにかく着ろ」
「それこそ俺が着る意味ねぇじゃねぇか」
「何?ネコやりたいの?」
「誰がするかぁぁ!!」


さっきからこんな口論を延々と続けて早くも4日もあと30分ばかりで終わろうとしている。
もともと近藤さんから5日は休みと伝えられていて、数日前銀時から4日の夜から空けとけと電話があった。
それを聞いて、万年金欠の銀時なので、プレゼントは俺、的なサービスとかを期待していたというのに、これじゃあ俺がサービスしてやる、 というか両方にとって罰ゲームじゃないのか?しかし銀時は総悟と張り合えるほどのドSなので俺がいやいや女装をするということを楽しむのだろうが。


「お前が着てくれるなら、明日、俺のこと好きにしていいぜ?」









「土方くん、似合ってんじゃん。やっぱイイ男は女装すれば美人になるのね」
「・・・」


俺は、まだマシだったブレザーを着ている。銀時が用意したヅラもつけて、希望通り女装して銀時に見せてやった。


「へぇ〜・・・。一見すれば美人さんだよな。俺だったらすぐにナンパしてるわ」
「そうかよ」
「うんうん。お前ポニーテール似合うな〜。長い髪も新鮮だ」
「昔は髪の毛長かったからな」
「え、そうなの?ふぅん」


銀時は俺を舐めまわすように全身を見つめる。
すると突然銀時が俺の肩を押し、俺に覆い被さってきて、俺の手首が布団に縫い付けられた。


「銀時?」


銀時はニィッと口角を上げて笑って言った。




「今日は俺が犯してやるよ」












土方の上に乗って、土方が穿いているチェックの短いスカートから覗く太腿を触る。
やっぱり男の脚。しかも鍛えてることもあって、腕や腹筋だけではなく脚にも筋肉がほどよくついている。 硬い。色もまぁ日に当たらない所だから腕などに比べれば白い方ではあるが、そそられるような太腿じゃない。


「ん、ふ・・・、おいおい、何だよ、はっ、嫌がってた割に、カチカチじゃん?ふ、っ・・・、女装しただけで、こんなんなってんの?はは、変態」
「違ェ!それはてめぇが・・・っ」
「は、んん」


土方の顔を見ると、額に汗がにじんでいる。
精悍な男が汗をにじませる姿は、男の目から見ても格好いい。美しいと思う。
しかしその首から下には、そんな精悍な男には不似合いな真っ赤なリボン。白いシャツ。そして紺色のブレザー。
元々かまっ娘倶楽部で着ていた物なので、男でも着れるようなサイズの制服 (天人がやっている店に男でも着れるサイズのコスプレ衣装を扱う所があるらしい)で、サイズはぴったりだが、やはり服の下に隠された身体が、 鍛えられている身体だとすぐにわかる。そんなミスマッチが妙に笑える。妙に、そそる。
あぁ、これじゃあどっちが変態だかわかんねぇな。


「あ、は・・・。なんか犯罪的だよなァ・・・。女の子、犯してるみてぇ。まぁ、ヤられてんの、俺、だけどっ」
「てめ、」
「動くなよ」
「ああ?」


もう結構限界らしい土方が唸る。まぁ俺もそろそろやばいけど。


「土方」
「何だ」
「誕生日おめでと」
「あ?」


土方が枕元の時計に目をやる。短針も長針も頂点から右にずれていた。
土方はそれを見るや否や俺を押し倒してきた。


「ぅあああ!!」


入ったままで体勢を変えられたので我慢していた声が上がってしまう。


「あ、あ・・・何、」
「5日だろ?・・・さっきの約束、忘れてねェよな?」
「あ・・・」





まぁ、そのあとあんな約束しなきゃよかったって激しく後悔するぐらいガツガツがっつかれたわけで。
6日が腰の鈍痛と疲労で布団から動けなかった俺の目の先に見えたのは紙袋。それもコスプレ衣装が入ってる。
それを見て、またさらに5日の行為を思い出してしまうが、女装をした土方が滑稽で、でもまぁきれいだったので、また残りの服も着せてみようかと思う。


遅れたけど土方誕生日おめでとう
10/05/10